「でんでらりゅう」ってわらべ歌を知ってますか?
九州人の私は歌を聞いて何を言ってるかわかるのですが、関西生まれの息子たちは全くわからないようで、「ねー、でんでら竜ってどんな竜なの?」とか「バッテンって×ってことー?」って聞いてきたのです。こどもの解釈を聞いて面白いな!と思ったので、ちょっと調べてみることにしました!
「でんでらりゅうば」?歌詞と解釈
九州人の私が聞いたことあるのは当然!
これは長崎県のわらべ歌と言われています。
耳で伝わっているので、「でんでらりゅうが」や「でんでらりゅうば」と伝わってる場合もあります。
「でんでらりゅう」とは
この歌の発祥は長崎県。
※諸説あります。(下の方に追記あり。)
一説には遊女の歌ともいわれています。
手遊び歌にもなっていて、子どもの頃よく歌いながら遊んだものです。
では、歌詞全体としてはどうなっているかをご紹介します。
歌詞と解釈
”
でんでらりゅうば でてくるばってん
でんでられんけん でてこんけん
こんこられんけん でてこられんけん
こーんこん
”
漢字で表すとこうなります。
”
出ん出らりゅうば 出てくるばってん
でん出らりゅうば 出てこんけん
来ん来られんけん 来られられんけん
来ーん来ん
”
これを今風に訳してみると・・・
出ん出らりゅうば → 出て行けるなら
出て来るばってん → 出て行くけど
でん出られんけん → でも 出て行けないから
出てこんけん → 行けないので
来ん来られんけん → そこに行けないので
来られられんけん → 行くことができないので
来ーん来ん → 来ない来ない
息子の解釈
九州の言葉になじみのない息子はこんな風に解釈してました。
でんでらりゅうば → デンデラ竜が
でてくるばってん → 出て来る、×(ばってん)
でんでられんけん → デンデラ錬剣
でてこんけん → 出てこない件
こんこられんけん → 来ない?コラ!錬剣
こられられんけん → コラ!レラ錬剣
こーんこん → コーンコン(きつねの鳴き声)
↑こんな風に解釈していました。
息子たちが「この歌ってさ、竜と戦う歌なのー?」って言ってた意味が分かりました。
文献をチェック!
実際に「でんでら」でヒットするような書籍でも調べてみました!
でんでら国
平谷美樹(ひらやよしき)さんの描く【でんでら国】。
「でんでら」と書いてあるので気になって読んでみました。
姥捨て山みたいに、「御山」へ六十になり掟に従い家族と離れる善兵衛(ぜんべえ)の描写から始まります。
そして、でんでら野の向こうにその「御山」があるらしい。
ただ、陸奥国(むつのくに)や八戸藩(はちのへはん)などの表記から、これは長崎とは関係なさそうでした。
ただ、会話文も多く、臨場感もありますし、序盤からグイグイ引き込まれるミステリー感に、でんでらりゅうばとは関係なく読んでみてほしいです。
でんでら国はこちらから↓
方言ずかん
篠崎晃一さん監修の「方言ずかん」。
でんでらりゅうばことは書いてなかったけれど、方言チャートがおもしろいです!
宮崎人の私は、しっかり「宮崎」へたどり着きましたw(°o°)w
方言ずかんはこちらから↓
佐賀長崎のわらべ歌(日本わらべ歌全集24)
なんと、佐賀にも長崎にも「でんでらりゅうば」が載ってない!!!
ただ、この本には、楽譜も一緒に載ってることと、「子守歌」「手まり歌」などジャンル別にたくさん載っているので、見ているだけでも楽しいし、楽譜が読めたらついくちづさんでみたくなりますね☆
佐賀長崎のわらべ歌はこちらから↓
実は熊本発祥?
なんと、「日本わらべ歌全集24 熊本宮崎のわらべ歌」の中に「でんでらるんなら」として紹介されてるものを発見!
しかも、ジャンルは「早口ことば」笑
まじか!
でんでらるんなら でてくるばってん
でんでられんけん でられられんけん
でんけん こんけん
こんこられんけん こんこん
という歌詞と共に、
(玉名郡南関町東豊永)
って書いてあるんです!
地方までしっかり載ってた!!
そして、
出られるならば。 出てくるけれども。
出られないから。 出ることができないから。
出ないから。 来ないから。
来られない(行けない)から。
来ない(行かない)よ。
という、訳が!!
あれ?私の訳とほぼ合ってない?(゜o゜;
で、さらに解説が。
遊びに誘われて、家を出ることのできない子の断り言葉を、早口ことばにしてうたったものである。一回二回とくり返すにつれテンポ(早め、間違わずにうたえた者を勝ちとする。
なんと!
そういうルールだったのね!
手遊びが主流だけど、実は早口ことばとして遊ばれていたことがわかりました(ノ゚0゚)ノ~
さらにさらに!
宮崎のところにも載ってたんですよ!!!
でんでらりゅうばい!!!
バイなんや。笑
そのページに飛んで、解説を読むと、、
一出て来いというから出て来た、
出てくるなというなら出てこない一
頭韻をそろえた地口歌で、全体的にまとまった意味はない。
意味ないんかーい!!!
楽譜の感じは、宮崎の方が「日本語であそぼ」に使われてる感じに近いかな?って思いました!
でも、小さいころ聞いたことあったのにネットでもテレビでも「長崎説」が主流になってたので、宮崎も出てきて嬉しかったです(*^^*)
熊本宮崎のわらべ歌はこちらから↓
まとめ
いかがですか?
「デンデラ竜」って思われていた方もいるかもしれませんが、本当は竜のことを歌っているわけではないのです。
そうそう、九州の一部では、「行く」ことを「来る」と言ったりします。
「今から行くね」→「今から来るね」みたいな感じで使います。
音から生まれた日本語なので、生まれた場所で受け取る印象が違って、本当に方言っておもしろいですよね。
コメント
コメント一覧 (2件)
私は長崎県立西陵高校の放送部顧問の白石愛子と申します。
今、長崎をPRするための4分間の音声作品として「でんでらりゅうば」の歌を紹介しようと生徒達と企画をしています。そんな中で、この記事を見つけました。
「でんでら龍ってどんな龍なの」を書いた方はどなたですか?
宮崎出身と書いてありますが、このような分析をされていることに興味があって、連絡を取れないかと思い、こちらにお尋ねします。
ありがとうございます!個別で返信させていただきます(^^)/